2014年7月10日木曜日

ありのままのあなたで⑧

部屋に戻って、鏡をのぞくと、暑い帰り道を走ったせいでしょう。
絵の具もチョークもほとんどとれ、
サリーの首には黒い毛がくっきりとみえていました。
サリーは鏡の中の自分に話しかけました。
「どうして、私は真っ白じゃないんだろう。
どうしてダメなウサギなんだろう。
こんな私、大嫌い!!」
サリーが悲しくなって、泣いていると、
ママが部屋に入ってきて言いました。
「サリーどうしたの?」
サリーはママに心配をかけたくなくって、
真っ赤な目で頑張って笑いながら言いました。
「ううん、ママ、何でもないよ」
ママはそっと、サリーをやさしく抱きしめてくれました。
ママの腕の中があんまり気持ちがよいので、
泣き疲れたサリーはそのまま眠ってしまいました。
サリーの頭をなでながら、ママは静かにサリーにつぶやきました。
「ママのかわいいサリー、
あなたはそのままでいいのよ。
そのことにどうか早く、気がついてちょうだい」
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